第一帖 ひとつの目的と、ふたつの約束ごと
盤と駒。たったそれだけの小さな世界に、追う者と追われる者の物語があります。
ルールは、ほんの少し。覚えることを欲ばらずに、まずは「目的」と「ふたつの約束」だけ、そっと胸にしまってください。
将棋の目的は、とてもシンプルです。
相手の王様(王将・玉将)を盤の上で追いつめ、どこにも逃げ場がなくなったら、あなたの勝ち。この状態を「詰み」と呼びます。
最初はこのゴールだけで十分。「王様を捕まえる遊び」だと思って、肩の力を抜いて駒を並べてみましょう。
チェスを知っている方も、ここだけは将棋ならでは、という魔法のようなルールがふたつあります。
自分の駒が相手の陣地(手前から数えて、相手側の三段目以内)に入ると、駒を裏返して、より強い駒に「成る」ことができます。
スタディ将棋なら、裏面にもちゃんと矢印が描かれているので、変身したあとの動きもひと目で分かります。
前へ進むほど、駒は強くなる。少しだけ勇気を出して、攻め込んでみてください。
目的をひとつ、約束をふたつ。覚えることは、これでおしまいです。
あとは一局、また一局と重ねるたびに、指は自然と動き方を覚えていきます。勝ち負けは、あとからついてくるもの。まずは盤の前に座る、その時間そのものを楽しんでください。
―― 次の帖では、最初の数手「駒たちに、道をひらく」お話を。
相手から取った駒は、盤の外で捨てられたりしません。
あなたの「持ち駒」になり、好きな空いているマスへ、いつでも新しい味方として「打つ」ことができます。
これは数あるチェス系のゲームのなかでも、将棋だけのとびきり面白いルール。取って、取られて、また盤上へ。駒たちは、何度でも生まれ変わります。